東京高等裁判所 昭和30年(う)1527号 判決
被告人 柳田美雪
〔抄 録〕
論旨第一点及び第二点。
被告人が、昭和二十九年五月十一日蒲田警察署に覚せい剤取締法違反容疑で検挙せられ、同年六月十一日東京地方検察庁において起訴猶予、同年十一月十日南千住警察署に同法違反容疑で検挙せられ、昭和三十年一月十七日東京地方裁判所において懲役二月及び罰金五千円、懲役刑については三年間執行猶予、更に、同年二月二十七日愛宕警察署に同法違反容疑で検挙せられ、起訴猶予の各処分を受けたものであることは、被告人の司法警察員に対する供述調書中の供述記載や、指紋照会書回答票の記載によつて明瞭であり、これらの事実と、被告人の原審公廷における供述や司法警察員に対する供述調書中の供述記載によつて明らかに認められるように、被告人が昭和二十六、七年以来覚せい剤を自己の注射に断続ながら常時使用するの習癖を持つていた事実とを総合して考察するときは、右のように、覚せい剤取締法違反の罪の容疑で度々起訴猶予にもなり、又処罰も受けていながら、而もその懲役刑の猶予期間中にも拘わらず、日ならずして、更に犯した本件覚せい剤所持禁止の規定に違反した所為は、とりもなおさず、覚せい剤取締法第四十一条第四項にいわゆる「常習として」違反行為をしたものと言わざるを得ない。原審が、被告人の所為につき同条同項の罪に問うたことは正当である。原審は、証拠なくして、常習にかかる覚せい剤所持の事実を認定した上同条同項の罪に問うた違法があると主張する所論は採用できない。論旨はすべて理由がない。